Akira Tsuchida
Owner AKIRA
TSUCHIDA
category :  INTERVIEW
release date

国内のみならず
海外のコレクターや顧客からも高い注目を集める「mushroom」の魅力

mushroom
土田鏡(Akira Tsuchida)

2002年の創業よりアメリカ古着を中心に販売。 2021年に店舗を風光明媚な山のふもと 新潟県の弥彦村へ移し、ファッショナブルなレギュラーから希少なアーカイブクラスまで取り扱う古着屋として営業している。 2Fには修繕を行うrestoreも併設しており、知識豊富・縫製技術の高いスタッフが妥協のないリペアでお客様の洋服を長く楽しむためのお手伝いをしている。

新潟県弥彦村に店を構える「mushroom」。 山々を望む長閑な風景の中で一際目を惹く、スタイリッシュな一戸建ての店舗には、オーナー自らアメリカに赴き、厳選されて買い付けられた良質なヴィンテージが並びます。 日本国内のみならず、海外のコレクターや顧客からも高い注目を集める「mushroom」の魅力について、オーナーの土田鏡(あきら)さんと土田悠(ゆう)さんにお話を伺いました。

Akira Tsuchida Owner
Category: INTERVIEW
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国内のみならず
海外のコレクターや顧客からも高い注目を集める「mushroom」の魅力

mushroom
土田鏡(Akira Tsuchida)

2002年の創業よりアメリカ古着を中心に販売。 2021年に店舗を風光明媚な山のふもと 新潟県の弥彦村へ移し、ファッショナブルなレギュラーから希少なアーカイブクラスまで取り扱う古着屋として営業している。 2Fには修繕を行うrestoreも併設しており、知識豊富・縫製技術の高いスタッフが妥協のないリペアでお客様の洋服を長く楽しむためのお手伝いをしている。

新潟県弥彦村に店を構える「mushroom」。 山々を望む長閑な風景の中で一際目を惹く、スタイリッシュな一戸建ての店舗には、オーナー自らアメリカに赴き、厳選されて買い付けられた良質なヴィンテージが並びます。 日本国内のみならず、海外のコレクターや顧客からも高い注目を集める「mushroom」の魅力について、オーナーの土田鏡(あきら)さんと土田悠(ゆう)さんにお話を伺いました。

兄弟二人でヴィンテージショップを開業

お二人のプロフィール、mushroomさんについて教えてください。

土田 鏡(あきら)1977年新潟市生まれ。(写真右) 土田 悠 (ゆう)1979年 新潟市生まれ。(写真左) 土田 鏡氏(以下:鏡氏):大学卒業後、新潟の古着屋で働いたのち、25歳の時から兄弟共にmushroomを立ち上げました。新潟県古町で2002年12月に初めての店舗をオープンしました。その後2006年に新潟市の万代へ移転。 そこから物件の契約が満期になった時に今の弥彦の店舗に移りました。

理由としては、弥彦村の伸びやかな景観や環境の良さ、そして新潟の中でも観光地である場所にオープンし、様々な人が集う場所で気軽に訪れることができるような店作りをしたかったからですね。

当時は更地だったところから、1からデザインして建てました。昔からインテリアが好きだったので、自分の好みを詰め込んだお店にしました。弥彦の山を見せたいというところがあったので、窓の大きさにはこだわりましたね。 どんなアイテムでも並び方次第でよく見えるように意識していて、そういう部分で什器も全部ヴィンテージで揃えています。什器やディスプレイ含めて、店内でアメリカらしい雰囲気を感じてもらえたらと思います。

また、店舗は1,2階の2フロアで構成されています。1階にはヴィンテージデニムをメインに、ワークやミリタリーなどのジャンルを幅広く取り扱っており、2階には古着のリペアやリメイクを行う「リストア(restore)」が併設されています。(現在新規の受注は停止しています。)

名店mushroomが出来上がるまで

ヴィンテージショップをやろうと思ったきっかけを教えてください。

鏡氏:高校生時代から古着屋をやると決めていました。商売人の家で生まれたこともあり、何かしらの商売を自分でやりたいという思いがありました。何をやるかを考えた時に、中学生くらいから古着が好きだったこともあり、古着屋をやっていくと決めました。 「一生物」というフレーズに当時から憧れがあり、自然とそうなっていった感じですね。 個人的な話ですが、結婚した年にmushroomを立ち上げたこともあり、ビジネスとして地に足をつけてやっていく以上は好きなだけでは続かないと思ったので、最初の目標を高く設定し、がむしゃらに頑張りました。 立ち上げてからは、色々な失敗もありながらも3年目くらいから軌道に乗り始めました。 きっかけとしては、アメリカのディーラーでもあるラリー氏の商品を買わせてもらったことですね。当時は他のバイヤーさんが買わなかった商品を、mushroomが全部買ったことが大きいですね。まだまだ日本人には未開拓だったジャンルをmushroomが日本のエンドユーザーに届けたことからラリーさんとの関係性が始まりました。そこから様々なディーラーさんとも取引が広まり、今はディーラーさん達との信頼関係もあり、クオリティの高いアイテムが集まるようになったのが、今のmushroomにつながっています。

「mushroom」の店舗名の由来は?

鏡氏:当初は古着の他、オリジナルアイテムの展開も考えていました。昔からワンポイントのアイテムが好きだったので、mushroomのモチーフを使ったオリジナルブランドをやろうと思っていたんです。 ただオープン直後に、中途半端になるのが嫌で古着に一本化しようと思い専念した形が、今に繋がっています。店舗が弥彦に移ったことにより、様々な出会いや客層の広がりも見せたので、今後はオリジナルアイテムの展開も視野に入れていきたいと思っています。

兄弟でお店を運営されることについてはどうですか?

悠氏:兄弟で二人でやるのはやはり楽ですね。好みも同じですし、お互いの考えていることもわかるので、とてもやりやすいです。 当初は役割分担をすることもなく二人でやっていましたが、現在は新しく販売員として2名加わってくれたこともあり、今は接客を任せることができているので心強いです。役割分担がしっかり出来たので、僕はWebショップの運営やSNSなど完全に裏方をしています。

店内のアイテム構成について教えてください。

鏡氏:特に意識をしていることはないのですが、出会ったものの中から、その時に自分の感覚で良いと感じたものをセレクトすることを心がけています。 アメリカ現地に行って買い付ける他にも、毎日海外から荷物が届くような状況なので、メンテナンスや撮影などをして、できる限り早くお客様の手に届くことを意識しています。 またオンラインショップに掲載しているものは店頭に置いていないので、店舗のみで販売している商品を見に来店する楽しさを感じてほしいですね。

アメリカ人ディーラーとの強い信頼関係から集まる、ヴィンテージの逸品たち

土田さんが考えるmushroomさんの強みはなんですか?

鏡氏:一番はアメリカ人ディーラーさんとのパイプが非常に強いことですね。人数もそうですし、尊敬している方もたくさんいらっしゃいます。自分からしても実力者の方達からの協力のもと成り立っているお店だと思っています。mushroomといえば、ディーラーさんからの繋がりなのかな、と感じます。そういう部分もあり、クオリティの高い商品をお客様にお届けできているかと思います。

様々なディーラーさんとの信頼関係のもとで、これだけのハイクオリティなヴィンテージが日本に集まっているのはmushroomさんの強みなんですね。

鏡氏:そうですね。コロナ禍に突入してからはアメリカにはしばらく行けていなく、昨年2023年の4月くらいから3年ぶりに買い付けを復活しました。そこからはほぼ毎月買い付けに行っています。 古着が集まりづらくなっているなどとよく聞くこともありますが、mushroomは信頼できるパートナーさんがいることで常に良いものを提供していただけるという恵まれた環境にあると思います。これまで積み重ねてきた信頼関係で成り立っていると感じますね。

経年による変化はあるにしても、やはりリアルな労働の中で生み出された雰囲気は、現代では決して出せない魅力ですよね。

前回初出店の「VCM VINTAGE MARKET」を振り返って

前回初めてご出店いただいた、VCM VINTAGE MARKETについてはいかがでしたか?

鏡氏:前回初めてご出店させていただきました。 2日間に渡り、あれだけ古着好きなお客様が一堂に集まることは、中々ないのだろうなということがすぐにわかりました。お客様の熱気を直に感じ、初めてお会いできるお客様もとても多く、嬉しかったです。 初の出店だったので、引越しのサカイさんを使って店頭で使用している什器やディスプレイなどを丸っと持ち込んで作り込みをしました。引越しサービスを使ったショップは初めてかもしれませんね。(笑) イベント当日は初日のお客様の熱気に驚きました。ファッション感度の高いお客様がこれほど集まるイベントは中々ないのではないかと感じます。 買い物する上で、「衝動買い」が僕は一番楽しいんじゃないかと思っています。あれほど質の高い店舗さんが一堂に集まる空間だと、お客様も予想外の出会いがあったりして、そこがイベントの醍醐味ですよね。お客様からも「うっかり出会っちゃったけど、これも運命だと思って買います!」みたいな方が多かったと思います。

確かにそうですよね。お客様からもVCMのイベントのために貯金している!という声もちらほら聞こえて、嬉しい限りです。

鏡氏:それはとてもいいことですよね。古着屋に入りやすくなった時代にはなっているとはいえ、まだまだ個人店舗に行きづらいというお客様も一定数いらっしゃると思うので、こういうイベントがあることによって、お客様からしても色々なお店が見れるし、古着に触れ合う間口も広がる。また、お店側にとっても新規顧客が獲得できるという、お互いにとって良いきっかけが生まれますよね。

次回も沢山のお客様がイベントにいらっしゃってくれると思います。mushroomさんも次回のイベントにはまたご参加いただけるということで、ありがとうございます!

鏡氏:はい。次回3月末のイベントも参加させていただきます。今回もイベント前には渡米し、新たな商品をたくさん買い付けてくる予定です。前回の初出店で、お客様の雰囲気なども掴めたので、次回はまた異なるラインナップをご用意するつもりですので楽しみにしていてください。 また次回もお客様とのコミュニケーションはもちろんですが、出店されている他のショップ様との交流もできたらいいなと思っています。

そうですよね。僕たちVCMとしても大切にしている、マーケットという場所を通じて、人と人との繋がりを大事にしていけたらなと思っています。

土田氏が語る、今後の展望

最後にmushroomさんの今後の展望、次なる挑戦は何かありますか?

鏡氏:昨今のヴィンテージの熱はもう既に定着してきており、お客様の熱も上がっていると思うのですが、それ以上に若くても起業する方や新たにショップやWebを出す方も多くなってきていますよね。 実はmushroomでは、あまり知られていないのですが同業者さん向けに卸もやっています。ヴィンテージ業界が盛り上がっているのと同時に、お取引しているショップ様からは、中々商材が集まりづらくなっているというお話も聞きます。 そういう部分で、先ほどもお話しさせていただいたように、うちは様々なディーラーさんとの繋がりもあり商品は豊富に集まってくるので、同業者さんに商品を提供させていただける卸業務には力を入れていきたいです。倉庫という形よりは、mushroomらしい世界観を感じてもらえるようなショップのような構えをした、卸の場を作ってみたいですね。

今現在も、卸用の商材として買っているものを卸しているのではなく、あくまでもmushroomの商材として買い付けてきたものを卸としても提供させていただいています。今後もおそらくそのスタンスは変えずに、あくまでその他の商材でリクエストを受けたら、各地のディーラーさんに商品を引っ張ってきていただくなどのやり方もやってみたいなと思っています。

ショップ様からしたら、mushroomさんのフィルターを通した商品を卸で購入できるのは、すごくありがたいですね。中々お一人でやられている方は、買い付け中お店を閉めないといけないなどの事情があると思うので、mushroomさんの卸を利用することでスムーズに買付できるようになりますね。お互いの需要がマッチして、WinWinな関係になれるのが理想ですね。

鏡氏:そうですね。古着屋さんはもちろんのこと、最近ではセレクトショップの中に一部古着を取り扱うお店さんも増えてきていると思うので、そういった方々にもうまく使っていただけたらいいなと思っています。 ミニマムもそこまで高くないので、新しいチャレンジとして取り入れてもらうのが良いかなと思います。

また、もう一つ今後可能性としてあるとしたら、新潟以外にもお店を出してみたいですね。軽井沢とかも雰囲気良さそうですよね。 弥彦に移ってから、通りすがりのお客様もフラッと立ち寄ってくれるようになりました。 古着屋さんは入りにくいという印象があるという方もいらっしゃるかと思いますが、そういう部分を今後も無くしていきたいです。 また、今の時代性もあるかと思うのですが、入荷日前に全ての商品をSNSに掲載する流れが主流だったりしますよね。 もちろんそれもお客様にとっては、目当ての商品の目星がつけられたりするので良いことだと思います。 ただ僕たちは、お客様が実際にお店に足を運ぶまでどんな物があるかわからない、先ほどもお話ししましたが、ワクワクした気持ちの中で衝動買いしてしまうという気持ちを大事にしてほしいなと感じているので、SNSもそのような発信の仕方を今後も継続させていたいです。 何も考えずにシンプルにお買い物を楽しんでいただけたら嬉しいです。 そういう部分で、オンラインショップと実店舗の在庫は異なるものを用意しているので、実店舗があることの重要性は、今後も大事にしていきたいなと思っています。

本日は貴重なお話をありがとうございました。今後もmushroomさんの展開を楽しみにしています。次回3月30-31日のパシフィコ横浜でのイベントでもどうぞよろしくお願いいたします。