TAKAO
広島の古着屋「LEAD」と
オーナー高雄大善氏を紐解く。
高雄大善(Hiroyoshi Takao)
1990年、広島生まれ。広島の古着屋「LEAD」と「LEAD MVP(予約制)」の代表。ヴィンテージコンバースの立役者でもあり、各メディアに記事を執筆。またコンバースジャパンにも私物を提供している。VCMが出版した書籍「VINTAGE COLLECTABLES by VCM」ではアイテムアドバイザーとして参加。
ヴィンテージ業界の中でも、常に時代を牽引する新しい提案をしている、広島の古着屋「LEAD」。 今回は実際に、LEADが店を構える広島まで足を運び、オーナー高雄大善氏に、自身のアイテムの選び方やファッションを志したきっかけ、高雄氏が思うヴィンテージ業界の在り方など、様々な角度から取材。 オーセンティックな王道なヴィンテージから、ブランドアーカイヴまで。ベーシックなアイテムを取り扱いながらも、異彩を放つオーラの秘訣とは。インタビューを通じて、LEADオーナー高雄大善さんの魅力に迫ります。
広島の古着屋「LEAD」と
オーナー高雄大善氏を紐解く。
高雄大善(Hiroyoshi Takao)
1990年、広島生まれ。広島の古着屋「LEAD」と「LEAD MVP(予約制)」の代表。ヴィンテージコンバースの立役者でもあり、各メディアに記事を執筆。またコンバースジャパンにも私物を提供している。VCMが出版した書籍「VINTAGE COLLECTABLES by VCM」ではアイテムアドバイザーとして参加。
ヴィンテージ業界の中でも、常に時代を牽引する新しい提案をしている、広島の古着屋「LEAD」。 今回は実際に、LEADが店を構える広島まで足を運び、オーナー高雄大善氏に、自身のアイテムの選び方やファッションを志したきっかけ、高雄氏が思うヴィンテージ業界の在り方など、様々な角度から取材。 オーセンティックな王道なヴィンテージから、ブランドアーカイヴまで。ベーシックなアイテムを取り扱いながらも、異彩を放つオーラの秘訣とは。インタビューを通じて、LEADオーナー高雄大善さんの魅力に迫ります。
高雄氏が考える、古着屋「LEAD」の在り方
LEADの紹介をお願いいたします。高雄大善(以下、高雄氏):LEADは、古着・ヴィンテージを扱う、セレクトショップのような感覚と、自分はとらえています。 ヴィンテージという「モノ」だけにフォーカスして追い求めている人が多く、着たり組み合わせたりする楽しみが少し蔑ろにされている印象があったので、LEADでは、単純に服を楽しむ、誰かとコミュニケーションのきっかけになる、洋服に興味がない人からもかっこいいと思われるようなアイテムを提案できるショップにしたいと思っています。 その中でも特に、組み合わせの意外性は意識しています。古いモノでもスタイリング次第で新しくみせたり、ヴィンテージにあえてラグジュアリーなブランドを合わせてみたり。 そこが、お店のコンセプトでもある、想像の少しだけ上をいく“何か×何か”の楽しさを伝えていけるような店づくり、に通ずるかなと。 ヴィンテージは知識がないと楽しめないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そういったことは抜きにして、シンプルにかっこいいと感じるものを探しに来て欲しいです。 古着マニアの人はもちろんですが、多方面のジャンルのお客様に刺さるようなセレクトを当初から心がけています。
高雄氏:高雄大善(たかお ひろよし) 1990年6月5日生まれ 広島出身です。 大学時代は神戸の芸大、ファッションデザイン学科に通っていました。 大学1年生の時から、大学に通いながら週2程度で、神戸の古着屋でバイトを始めました。卒業前の大学4年生の段階で、東京の古着屋に勤めることになりました。卒業制作などのタイミングでは神戸に戻り、大学を卒業しました。 当時から接客には力を入れていて、古着を知らない人に、古着の魅力を伝えるのが楽しかったですね。自分に会いに来てくれるお客様もいたりして、刺激のある経験でした。
高雄氏:そうですね。その後は広島に戻り、別の古着屋にて4年ほど勤務しました。退職してから、以前知り合いから紹介されていた現LEADの物件を思い出し、すぐに契約しました。 これまでの顧客になってくださっていたお客様への使命感などもあり独立することを決意して、2018年10月6日に「LEAD」を立ち上げました。
こだわり抜かれた商品で
実店舗をオープン
オープンする際のアイテムは、とても高いクオリティだったのが印象的でした。
高雄氏:オープン時にはこれまで関わりのあった様々なヴィンテージショップのオーナーさん達のご協力もあり、ハイクオリティな商品が多数集まりました。 今でこそヴィンテージの委託販売のショップは多いかと思いますが、当時は今ほどは多くなかったです。自分で海外で買い付けるというスタイルではなく、様々なお客様から商品をお預かりする委託販売のスタイルで営業しています。
高雄氏:実は、友達が決めてくれました(笑) 当時から店名を考える際に、様々なスラングやかっこいい言葉を探していたが、中々しっくりこなかったんですよね。 あまり、店名に難しい意味が色々とあるような感じにはしたくなくて。みんなが覚えやすくて親しみやすい名前を探していました。 自分のいいところでもあり悪いところでもありますが、いい意味で適当、ラフなところがあるんですよね。 友達に「LEAD(リード)」は?と言われた時に、それにしよう!となりました。 「リード」は、牽引していくという意味にもなりますし、本で言うとReadingの”読み取る”という意味にもなります。自分自身その時々の時代に合わせた新しいことをやってきた部分があったので、これからも時代をリードしていきたいという想いもあり、その名前にピンと来ました。 ちなみに会社名も、友達と話していて決めました(笑) 会社名は「フィオニア」と言います。先ほどのLEADと近い部分もありますが、 先駆者の意味でもある、「Pioneer(パイオニア)」のPを、古着のFに変えてみて、フィオニアという造語になりました。
最高峰のラインナップが揃う、「LEAD MVP」とは
最近立ち上げられた、「LEAD MVP」についても教えてください。高雄氏:2022年4月に立ち上げた、LEAD2号店ですね。こちらはアポイントメント制のショップになります。 「LEAD MVP」の「MVP」は「MOST VALUE PLACE=LEAD の中でも最も価値のある場所」でもあると考えていて、価値あるものを求める人たちに向けた、商品の質・サービス共にハイクオリティの場所であることを目指しています。 「LEAD MVP」については、LEADを立ち上げた時から構想がありました。 イメージとしては百貨店のVIPルームを目指しましたね。 良いものを売るための、最高品質の接客、サービス、内装、空間を徹底的に意識しています。 時にはアポイントメントを入れてくださった顧客様が探しているものを並べることもあります。お客様にとっても憧れの場所になるよう、商品・ブランディング共に心がけています。
高雄氏:学生の頃は、かなり奇抜なファッションをしていました。そんな中で、「誰でも買えるもので、オシャレするのが本当のオシャレよ」と母親に言われ、その言葉が大きかったですね。 当時は5千円くらいでコンバースが買えたので、老若男女全員が履くコンバースを使ってオシャレをしてみようと思いました。 また、その時に思ったのが、安いのにみんなが知っていて、人気があるのはなんでだろう?ラッパーもセレブも、はたまた中学生でも。様々なファッションの人が履いていることに興味が湧きましたね。 そこから深掘りしていき、徐々に年代が古いものを学んでいった感じです。当時職場にはスニーカーにお金をかける人は少なかったんです。ただ自分は当時からチャックテイラーを履きながら、店の掃除とかしていましたね(笑) そこからいつの間にか、コンバースといえば自分、と言っていただけるようになっていきました。もちろん僕より詳しい人は沢山いると思いますが、マスの人たちにも魅力を伝えていったのはあるかもしれません。
高雄氏:90年代 黒のコンバースですかね。 もちろん古いものを身に付けたいなら、一目で現行との違いがわかるサイドステッチ(=現行のオールスターには無いディテール)というのは必要だと思いますが、ファッションとして、アメリカ製のスニーカーを履きたいという動機なら、サイドステッチはいらないと思っています。サイドステッチが逆にファッションの邪魔をするということもあると思うんです。 そういうディテールに囚われず、アメリカ製の中でも自分のファッションに合うトゥの大きさやシルエットのものを選ぶ、というのがいいんじゃないかなと僕は思います。
高雄氏:一番履いているのは、90年代の黒のハイカットです。 見てかっこいいのと履いてかっこいいのは違う。 見てかっこいいという部分で言うとジャックパーセルの古いもの、だったりしますがそれがファッションとしてで考えるとまた違うと思うんです。 僕はコーディネートに一番合うものを履きたいので、それを考えた時には、ジャックパーセルやジャックスターではなくオールスターなんですよね。 気分によってハイカット、ローカットにしたり、紐を黒に変えたりして楽しんでいます。
高雄氏のファッションのこだわりに迫る
高雄さんの今日のコーディネートのポイントを教えてください。高雄氏:今日は、1930年代バックルバックのデニムに、80-90年代ギャルソンのストライプシャツ。 ジュエリーはエルメスとゴローズです。 ジュエリーに関しては、気分でシルバーとゴールドで変えることはありますが、基本的には毎日決まったものを身につけています。 この指にはこのリング、みたいな感じで、自分の中での最適なバランスで選んでいる組み合わせですね。 今の組み合わせが既に完成している感じがあるので、しばらく増やすことはないかなと思います。 奥さんからもらったものや、BerBerJinの藤原さんから譲っていただいたもの、オープン祝いでもらったもの、などエピソードが詰まっているものが多いです。
私物のお気に入りアイテム5選
高雄さんのファッションはSNSでも注目している方が多いですよね。中でも、お気に入りの私物ヴィンテージアイテムを見せてください。高雄氏: 1点目は、1960’s ユーティリティシャツ “ポプリン” 程よい光沢感のある上質なきめ細かいファブリックが最高。 上品に着られる無骨なアイテムですね。 もう10年ほど集めている。自分が集めているのはMとLサイズ。 よく着用しているのはMサイズですね。 全部で15~20枚くらいは持っています。1枚だけだと不安になります。(笑) デッド/中古など、バリエーションで集めています。
1984年製 NIKE ピンストライプ 気に入っているスニーカーです。色はブラック。綺麗目なスラックスなどに合わせるスタイリングがお気に入りです。上品に履けるランニングシューズは中々ないかなと。
パタゴニア シティレインコート バーバリーっぽい綺麗目なコートに見えるけど、実はパタゴニアという意外性が好きで集めています。 アウトドアブランドらしからぬ見た目が気に入っていますね。 何着も集めていますが、中でもブラウンカラーのものは、鎌倉店ができた時の限定カラー。パタゴニアの店員さん曰く、日本に15着しかないとのことでした。 最近手に入れた中でも、心躍る買い物の一つです。
1970年代 リバースウィーブ スウェット 5段の染み込み、ツートンのリバースです。 自分の体型に合うリバースウィーブなので、流行関係なく長い間気に入っています。 一度手放したんですが、もう一度高値で買い戻して手元に10年くらい残しています。 穴が空いては大事に直して、大切に着ています。 また大体のリバースウィーブは、ボディの大きさに対してプリントが小さく見えることが多いのですが、これはこの大きさに対して、5段プリントのバランスが良いですね。 僕は髪が長いので、フーディーはあまり着ません。
1970年代 コンバース コーチ ローカット デッドストックなのに、ここまで色が褪せてるのが珍しい。 サンフェードなのか、薬剤がかかったのかは不明ですが、この絶妙なフェード具合が好き。 完璧なデッドストックも持っていますが、このフェード感が雰囲気があり気に入っています。
アイテムアドバイザーとして参加した書籍「Vintage Collectables by VCM」
VCMが発売した書籍「Vintage Collectables by VCM」では、アイテムアドバイザーとしてもご協力いただきましたが、高雄さんから見て今回の書籍の見どころはどこですか?高雄氏:はい。今回はアイテムアドバイザーとして参加させていただきました。 全体を通して、様々なジャンルのアイテムが掲載されていてとても面白いですよね。 僕も様々なアイテムを提供させてもらいましたが、個人的には誰が出したのかを見てほしいですね。 すごいコレクターさんで、初めて今回の書籍でお披露目した人も。 昔からのお客様や知り合いのコレクターさんなど、沢山の方にお声掛けをして掲載していただいたので、そういうところにもフォーカスを当ててみてほしいですね。 アイテムで言うと、特にNIKEの「ゲイシャ」Tシャツや、1950’s レーヨンシャツ、コンバース10色のページは気に入っています。またアディダス/ナイキ/プーマなどの3大スニーカーについてもスペシャルが並んだので要チェックかと。 70505のセカンド、551BXXなど珍しい アイテムもたくさん載っているので、是非書籍で見てみてください。
LEADのこれから
ありがとうございます。本日は楽しくお話しさせていただきありがとうございました。最後に、今後のLEADの展望があれば教えてください。高雄氏:今は、「LEAD」「LEAD MVP」の2店舗を運営していますが、ゆくゆくは、他の店舗も展開したいなと言う気持ちはあります。 広島にもう1店舗出すなら、新品などのセレクトも交えながらやってみたいです。 普遍的に愛されるアイテムのブランドなども取り入れていきたいですね。 頭使っておしゃれするのは疲れるので、何も考えず、純粋に服を楽しめる心地よい空間でファッションを楽しめるような、新しいスタイルのお店を作りたいです。 例えばブランドさんとの別注コラボレーションなども興味がありますね。 LEADらしいこだわりが詰まったアイテムができたら嬉しいなと思います。 最強の白Tは作ってみたいですね(笑) ヴィンテージのように普遍的で変わらないものと 時代によって変わっていくもの、その二つのバランスが重要。 ただ、クオリティだけは下げたくないので、そこは間違いなく意識していきたいですね。 まだまだ未定ですが、今後の展開を楽しみにしていてください。
高雄氏:楽しく服を着ていきたいし、皆さんにもそうあってほしいなと。 考えすぎたり、何かを否定したり、そういうことは無しにして、単純にファッションを楽しめたらいいなと思います。 是非広島の店舗の方にも、遊びにきてみてください。 店頭に来た際はご遠慮なく、探しているアイテムやコーディネートの相談などを気軽にお声掛けしていただけたら嬉しいです。 SNSに載せていないアイテムも沢山あるので、店内に並んでいないアイテムでもリクエストいただけたらご用意できることもあります。 また、VCMのイベントなど出店することがあればそちらでもお会いできることを楽しみにしています。今回はインタビューしていただいて、ありがとうございました。
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LEAD『伝統と革新』 古い物をどう新しく見せるか。 想像の少しだけ上をいく“何か×何か”の楽しさを伝えていける店づくりを目指しています。
https://www.instagram.com/lead_hiroshima/