【令和のマストバイヴィンテージ Vol.7】 今買っておくべき名品は? by  Naoaki Tobe
Category: COLUMN
シュプリーム「ゴンズジャケット」 Imaged by FASHIONSNAP
目立つロゴは付いておらず、すっきりとしたデザイン Image by FASHIONSNAP
Image by FASHIONSNAP
裾のフラップポケットにはペン差しが設けられている Image by FASHIONSNAP
袖のポケットにはブランドロゴのピスネームがさり気なく配されている Imaged by FASHIONSNAP
左右の裾に設けられたハンドウォーマーポケットはスピワックのオリジナルアイテムにはないディティール。 Image by FASHIONSNAP
ゴールデンサイズは十倍が着用しているLサイズ。XLだと大きすぎると感じる人が多い傾向。 Imaged by FASHIONSNAP
VCM inc./
代表取締役 十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCMを立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

https://www.instagram.com/naoaki_tobe/
release date

【令和のマストバイヴィンテージ Vol.7】
今買っておくべき名品は?

by Naoaki Tobe
release date
by Naoaki Tobe

vol.7 シュプリーム ゴンズジャケット

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第7回は「シュプリーム(Supreme)」の「ゴンズジャケット」編。

ストリートブランドの王様 シュプリーム初期の名作

 シュプリームと言えば、誰もが知るストリートブランドの王様ですが、その代名詞とも言えるのが、有名ブランドとのコラボレーションです。最近はラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドとのコラボも増えており、2017年の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」とのコラボアイテム発売の際は数千人の行列ができ、大きな話題になりました。その後も、「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 Maison Margiela)」や、イタリアのバイクブランド「ドゥカティ(DUCATI)」など、幅広いブランドと協業しています。

 ただ、今回紹介するのはそういったキャッチーなものではなく、一見するとシュプリームと分からないくらいのシンプルなアイテム。しかし、それとは裏腹に熱烈なコレクターも多い玄人好みの1990年代の名作、通称「ゴンズジャケット」です。

 「ゴンズジャケット」という名前は、スケーターのマーク・ゴンザレス(Mark Gonzales)が着用していたことから名付けられました。マーク・ゴンザレスは現在のスケートシーンの礎を築いた人物で、「史上最も影響力のあるスケートボーダー」と称されるだけでなく、アーティストとしても高い評価を受ける、ストリートカルチャーの旗手です。そんなマーク・ゴンザレスは、アメリカ軍のミリタリーウェアなどを製造しているメーカー「スピワック(SPIEWAK)」の「ウェップジャケット(WEP JACKET)」というアウターを愛用していました。ウェップジャケットは「G-8ジャケット」とも呼ばれ、1950年代から1970年代のアメリカ海軍で採用されていた防寒着の総称です。

 そんなスピワックにシュプリームが別注して作ったウェップジャケットが、この「ゴンズジャケット」。僕がこのアイテムを好きな理由は、本格的なミリタリーウェアメーカーに発注してモノづくりをするという、シュプリームの本気っぷりが感じられるからです。ヴィンテージマニアには初期シュプリーム好きの人が少なくないんですが、彼らはブランドのモノづくりに対する真摯な姿勢に惹かれているんだと思います。

今後相場は更に高騰?初期シュプリームのストリートスピリットが詰まった一着

 1994年に創業したシュプリームですが、「ゴンズジャケット」を発売したのは1996年。当時、シュプリームはニューヨークにしかショップを開いておらず、今と比べてアイテムの製造数も相当少なかったと推測されます。そして、その頃シュプリームを着ていたのは、主に地元のスケーター達。この「ゴンズジャケット」は、シュプリームがまだニューヨークのローカルブランドだった頃の、ストリートスピリットが詰まった一着だ、と言えると思います。

 「ゴンズジャケット」はブラック、ネイビー、カーキの3色展開で、一番人気はブラック。僕はコレクターの方から譲っていただきました。僕が主催するイベント「VCM VINTAGE MARKET」でも、争奪戦になるほどの人気アイテムでした。

 現在「ゴンズジャケット」の相場は、色やサイズによって異なりますが、大体20〜40万円ほど。「もう十分高いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、僕が今このアイテムを紹介するのは、今後「ゴンズジャケット」の価値が更に高騰するだろうと考えているからです。1990年代のシュプリームは「オールドシュプリーム」として近年価値が高まっていますし、シュプリームはストリートとラグジュアリーを繋ぐという、革新的な挑戦をしたブランド。連載第1回で紹介した「ステューシー(STÜSSY)」と「カーハート(Carhartt)」のコラボアイテムと同じように、こういったパイオニア的なブランドを象徴するアイテムは、時が経つにつれてより評価が高まることが多いです。気になる方は今のうちに手に入れておくことをオススメします。

vol.7 シュプリーム ゴンズジャケット

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第7回は「シュプリーム(Supreme)」の「ゴンズジャケット」編。

目立つロゴは付いておらず、すっきりとしたデザイン Image by FASHIONSNAP

ストリートブランドの王様 シュプリーム初期の名作

 シュプリームと言えば、誰もが知るストリートブランドの王様ですが、その代名詞とも言えるのが、有名ブランドとのコラボレーションです。最近はラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドとのコラボも増えており、2017年の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」とのコラボアイテム発売の際は数千人の行列ができ、大きな話題になりました。その後も、「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 Maison Margiela)」や、イタリアのバイクブランド「ドゥカティ(DUCATI)」など、幅広いブランドと協業しています。

 ただ、今回紹介するのはそういったキャッチーなものではなく、一見するとシュプリームと分からないくらいのシンプルなアイテム。しかし、それとは裏腹に熱烈なコレクターも多い玄人好みの1990年代の名作、通称「ゴンズジャケット」です。

 「ゴンズジャケット」という名前は、スケーターのマーク・ゴンザレス(Mark Gonzales)が着用していたことから名付けられました。マーク・ゴンザレスは現在のスケートシーンの礎を築いた人物で、「史上最も影響力のあるスケートボーダー」と称されるだけでなく、アーティストとしても高い評価を受ける、ストリートカルチャーの旗手です。そんなマーク・ゴンザレスは、アメリカ軍のミリタリーウェアなどを製造しているメーカー「スピワック(SPIEWAK)」の「ウェップジャケット(WEP JACKET)」というアウターを愛用していました。ウェップジャケットは「G-8ジャケット」とも呼ばれ、1950年代から1970年代のアメリカ海軍で採用されていた防寒着の総称です。

 そんなスピワックにシュプリームが別注して作ったウェップジャケットが、この「ゴンズジャケット」。僕がこのアイテムを好きな理由は、本格的なミリタリーウェアメーカーに発注してモノづくりをするという、シュプリームの本気っぷりが感じられるからです。ヴィンテージマニアには初期シュプリーム好きの人が少なくないんですが、彼らはブランドのモノづくりに対する真摯な姿勢に惹かれているんだと思います。

Image by FASHIONSNAP

今後相場は更に高騰?初期シュプリームのストリートスピリットが詰まった一着

 1994年に創業したシュプリームですが、「ゴンズジャケット」を発売したのは1996年。当時、シュプリームはニューヨークにしかショップを開いておらず、今と比べてアイテムの製造数も相当少なかったと推測されます。そして、その頃シュプリームを着ていたのは、主に地元のスケーター達。この「ゴンズジャケット」は、シュプリームがまだニューヨークのローカルブランドだった頃の、ストリートスピリットが詰まった一着だ、と言えると思います。

 「ゴンズジャケット」はブラック、ネイビー、カーキの3色展開で、一番人気はブラック。僕はコレクターの方から譲っていただきました。僕が主催するイベント「VCM VINTAGE MARKET」でも、争奪戦になるほどの人気アイテムでした。

 現在「ゴンズジャケット」の相場は、色やサイズによって異なりますが、大体20〜40万円ほど。「もう十分高いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、僕が今このアイテムを紹介するのは、今後「ゴンズジャケット」の価値が更に高騰するだろうと考えているからです。1990年代のシュプリームは「オールドシュプリーム」として近年価値が高まっていますし、シュプリームはストリートとラグジュアリーを繋ぐという、革新的な挑戦をしたブランド。連載第1回で紹介した「ステューシー(STÜSSY)」と「カーハート(Carhartt)」のコラボアイテムと同じように、こういったパイオニア的なブランドを象徴するアイテムは、時が経つにつれてより評価が高まることが多いです。気になる方は今のうちに手に入れておくことをオススメします。

裾のフラップポケットにはペン差しが設けられている Image by FASHIONSNAP