【令和のマストバイヴィンテージ Vol.4】 今買っておくべき名品は? by  Naoaki Tobe
Category: COLUMN
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現代のファッショントレンドと相性の良いXLサイズはなかなか出回らない。 Imaged by FASHIONSNAP
ブラックデニムには「先染め」「後染め」と呼ばれる二種類のアイテムがあるが、このギャラクティックウォッシュは裏地まで黒になる後染めタイプ。 Imaged by FASHIONSNAP
ギャラクティックウォッシュは、ネイビーよりもブラックのほうが圧倒的に希少。 Imaged by FASHIONSNAP
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VCM inc./
代表取締役 十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCMを立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

https://www.instagram.com/naoaki_tobe/
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【令和のマストバイヴィンテージ Vol.4】
今買っておくべき名品は?

by Naoaki Tobe
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by Naoaki Tobe

vol.4 リーバイス ギャラクティックウォッシュデニムジャケット編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第4回は「リーバイス(Levi’s®)」のギャラクティックウォッシュデニムジャケット編。

80年代リーバイスのブラックデニム! 星を散りばめたような名作ヴィンテージ

 ヴィンテージの代名詞と言えばリーバイスのデニムパンツですが、それに負けないくらい人気が高まっているのがデニムジャケットです。例えば、「スプリットバック」と呼ばれる背面に接ぎのあるビッグサイズのデニムジャケットは、ものによっては数千万円の値段が付くこともあります。

 とはいえ、この連載ではもちろんそのような雲の上のヴィンテージは紹介しません。今回紹介したいのは、リーバイスの「ギャラクティックウォッシュデニムジャケット」です。

 まず、リーバイスのデニムジャケットは大きく4つのタイプに分けられます。発売が古い順にファースト、セカンド、サード、フォースと呼ばれており、1988年頃に発売されたこのギャラクティックウォッシュはフォースタイプ。品番は「70507」で、ハンドウォーマーポケットと呼ばれる裾ポケットが付いており、身幅が広く、今っぽいシルエットなのが特徴的ですね。

 モデル名に使われている「ギャラクティック」は英語で「銀河の」という意味ですが、ダークカラーのデニムと白い粒のコントラストは、まるで星空のようで素敵じゃないですか?

 ギャラクティックウォッシュにはネイビーのインディゴデニムと、ブラックデニムの2タイプがあります。リーバイスがブラックデニムを本格的に展開し始めたのが1980年前後なので、このブラックデニムはブランドの歴史の中でも初期の頃のものだと言えますね。1980年代は「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」の「黒の衝撃」に代表されるように、黒がファッションの色として浸透し始めた時代なので、老舗のリーバイスも時流を読み、ブラックデニムの展開を始めたのだと思います。

 銀河に浮かぶ星のように見えるこの白い粒ですが、実はどうやって作られているのかは謎に包まれているんです。ネイビーの方の生地はよく見ると細かい突起があるので、生地を引っ掛けて表面を削り、インディゴに染まっていない内側の白い部分を露出させているように見受けられます。

 しかし、ブラックにはそういった突起が見られません。こちらは、色素を抜く薬剤を飛び散らせることで、部分的に脱色している可能性が高いと思われます。1980年代はケミカルウォッシュが大ブームになるなど、多種多様なデニムの加工方法が生まれた時代でもありますが、このギャラクティックウォッシュがどのようにして作られていたのか、想像すると楽しいですね。

 ギャラクティックウォッシュのデニムジャケットは、リーバイスの歴史の中でも珍しく、ごく短期間しか生産されなかったアイテム。そのため、古着市場でもごく少数しか出回っていません。人気がなく売れなかったのか、それとも大量生産するのが難しかったのか、はっきりとした理由はわかりません。

初心者でも手を出しやすい「穴場的ヴィンテージ」

 今回僕がギャラクティックウォッシュデニムジャケットを紹介した理由は、レア度の高いアイテムであるにも関わらず、まだその希少性がそれほど知られていない、穴場的アイテムだからです。サイズや色、状態によりますが、現在の相場はだいたい4万〜8万円ほどとヴィンテージ初心者でも手を出しやすい価格帯なのでオススメです。

 ギャラクティックウォッシュは、生地の色の残り加減や、白い部分の飛び散り具合によって、「星空」の見え方が変わってくるのも楽しさのひとつ。ぜひ、自分だけのお気に入りの一着を見つけてください。 編集:山田耕史 語り:十倍直昭

vol.4 リーバイス ギャラクティックウォッシュデニムジャケット編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第4回は「リーバイス(Levi’s®)」のギャラクティックウォッシュデニムジャケット編。

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80年代リーバイスのブラックデニム! 星を散りばめたような名作ヴィンテージ

 ヴィンテージの代名詞と言えばリーバイスのデニムパンツですが、それに負けないくらい人気が高まっているのがデニムジャケットです。例えば、「スプリットバック」と呼ばれる背面に接ぎのあるビッグサイズのデニムジャケットは、ものによっては数千万円の値段が付くこともあります。

 とはいえ、この連載ではもちろんそのような雲の上のヴィンテージは紹介しません。今回紹介したいのは、リーバイスの「ギャラクティックウォッシュデニムジャケット」です。

 まず、リーバイスのデニムジャケットは大きく4つのタイプに分けられます。発売が古い順にファースト、セカンド、サード、フォースと呼ばれており、1988年頃に発売されたこのギャラクティックウォッシュはフォースタイプ。品番は「70507」で、ハンドウォーマーポケットと呼ばれる裾ポケットが付いており、身幅が広く、今っぽいシルエットなのが特徴的ですね。

 モデル名に使われている「ギャラクティック」は英語で「銀河の」という意味ですが、ダークカラーのデニムと白い粒のコントラストは、まるで星空のようで素敵じゃないですか?

 ギャラクティックウォッシュにはネイビーのインディゴデニムと、ブラックデニムの2タイプがあります。リーバイスがブラックデニムを本格的に展開し始めたのが1980年前後なので、このブラックデニムはブランドの歴史の中でも初期の頃のものだと言えますね。1980年代は「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」の「黒の衝撃」に代表されるように、黒がファッションの色として浸透し始めた時代なので、老舗のリーバイスも時流を読み、ブラックデニムの展開を始めたのだと思います。

 銀河に浮かぶ星のように見えるこの白い粒ですが、実はどうやって作られているのかは謎に包まれているんです。ネイビーの方の生地はよく見ると細かい突起があるので、生地を引っ掛けて表面を削り、インディゴに染まっていない内側の白い部分を露出させているように見受けられます。

 しかし、ブラックにはそういった突起が見られません。こちらは、色素を抜く薬剤を飛び散らせることで、部分的に脱色している可能性が高いと思われます。1980年代はケミカルウォッシュが大ブームになるなど、多種多様なデニムの加工方法が生まれた時代でもありますが、このギャラクティックウォッシュがどのようにして作られていたのか、想像すると楽しいですね。

 ギャラクティックウォッシュのデニムジャケットは、リーバイスの歴史の中でも珍しく、ごく短期間しか生産されなかったアイテム。そのため、古着市場でもごく少数しか出回っていません。人気がなく売れなかったのか、それとも大量生産するのが難しかったのか、はっきりとした理由はわかりません。

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初心者でも手を出しやすい「穴場的ヴィンテージ」

 今回僕がギャラクティックウォッシュデニムジャケットを紹介した理由は、レア度の高いアイテムであるにも関わらず、まだその希少性がそれほど知られていない、穴場的アイテムだからです。サイズや色、状態によりますが、現在の相場はだいたい4万〜8万円ほどとヴィンテージ初心者でも手を出しやすい価格帯なのでオススメです。

 ギャラクティックウォッシュは、生地の色の残り加減や、白い部分の飛び散り具合によって、「星空」の見え方が変わってくるのも楽しさのひとつ。ぜひ、自分だけのお気に入りの一着を見つけてください。 編集:山田耕史 語り:十倍直昭

現代のファッショントレンドと相性の良いXLサイズはなかなか出回らない。 Imaged by FASHIONSNAP