【令和のマストバイヴィンテージ Vol.3】 今買っておくべき名品は? by  Naoaki Tobe
Category: COLUMN
チェーンの長さは42cmと50cmの2種類。特に男性でもつけられる50cmは、流通量も少なく希少。ゴールドは当時のオーダーメイドだと思われ、市場に出回ることはほとんどない。 Imaged by FASHIONSNAP
ギリシア神話に登場する英雄、ヘラクレスがモデル名の由来で、チェーンのデザインは力強さと繊細さ、さらにエルメスとヘラクレスの頭文字である「H」を表現しているそう。 Imaged by FASHIONSNAP
留め具が特徴的で、引っ掛けるだけで外れなくなる仕組みになっている。 Imaged by FASHIONSNAP
ゴールド50cmの着用イメージ Image by FASHIONSNAP
シルバー42cmの着用イメージ Image by FASHIONSNAP
VCM inc./
代表取締役 十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCMを立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

https://www.instagram.com/naoaki_tobe/
release date

【令和のマストバイヴィンテージ Vol.3】
今買っておくべき名品は?

by Naoaki Tobe
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by Naoaki Tobe

vol.3 HERMÈS ヘラクレス編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第3回は連載初のジュエリー、「エルメス(HERMÈS)」のネックレス ヘラクレス編。

ギリシア神話の英雄から着想、マルジェラ期の名作

 最近はどんなヴィンテージでも「高騰!高騰!」と言われますが、人気の高まりがここ数年で特に顕著なのが、エルメスのジュエリーです。

 数年前まで、ヴィンテージのメンズジュエリーというと「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」や「ゴローズ(goro's)」、「カルティエ(Cartier)」や「ティファニー(Tiffany & Co.)」といったブランドが中心で、エルメスは今ほど注目されておらず、相場もあまり高くありませんでした。

 ところが、数年前にシェーヌダンクルの人気に火がついたことで、エルメスの国内直営店では同モデルを予約することができなくなり、入手困難となってしまいました。欲しい人は二次流通で探すしかなくなり、まさに争奪戦の様相を呈しています。

 シェーヌダンクルは存在感のあるモデルですが、今回ご紹介するヘラクレスのネックレスは、「Hモチーフ」が重なった繊細で上品なデザインが魅力。カリスマ的な人気を誇るデザイナー マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)がウィメンズのデザインを手掛けていた時代、通称「マルジェラ期」に発売されたアイテムです。

 女性はもちろん、男性にもマッチしますし、ヴィンテージウェアとの相性も良い。僕自身、シルバーかゴールドのどちらかをほぼ毎日愛用しています。「ヘラクレス」にはネックレスのほかにブレスレットも存在しますが、そちらもその使いやすさから非常に人気が高いです。

 エルメスと言えばレザーグッズが有名ですが、レザーはどうしても使用に伴い劣化し、資産価値に影響が出てしまいます。長年所持していても資産価値が落ちにくいという観点でも、エルメスのジュエリーはオススメです。

プロが教える「間違いないヴィンテージエルメスの買い方」

 エルメスのジュエリーはハンドメイドにこだわって作られています。メインであるフランスのほか、ドイツ、イギリス、イタリアの工場に発注しているのですが、どの工房で作られたかがわかるメーカーズマークという刻印が一つ一つの製品に打たれているんです。ルーペで見ないとわからないほど小さな刻印なんですが、それを見ると作られた工房を判定することができます。

 エルメスのジュエリーはその人気の高さから、フェイク(偽物)が非常に増えています。最近では販売店の保証書のフェイクも出回っていますし、インターネットやフリマアプリで購入した際、「商品画像として掲載されている写真は本物だったが、送られてきた現物が贋作だった」というケースも報告されているので注意が必要です。高価なものですから、信頼の置けるお店で知識と経験がある人から買うのがベターですね。

 現在エルメスのジュエリーは価値がかなり高騰していますが、相場が今より落ち着くことは基本的にないと考えて良いでしょう。理由としては、需要に対して供給が圧倒的に足りていないことのほか、男女問わず一生物のジュエリーとしてエルメスを手にする人が右肩上がりで増えており、市場に出回る数がどんどん少なくなっていることが挙げられます。エルメスジュエリーは廃盤になると高くなる。今回紹介したヘラクレスは廃盤になってはいますが、まだ一般層への知名度がそこまで高くなく、現在の相場は女性サイズとされる42センチメートルが70万〜90万円、男性もつけられる50センチメートルが140万〜170万円ほど(十倍調べ/個体差あり)。個人的に今後更に人気が加熱するエルメスジュエリーの筆頭だと考えているので、今のうちに押さえておくことをオススメします。今後、こちらの連載では、エルメスのほかのモデルについても紹介する予定です。

vol.3 HERMÈS ヘラクレス編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第3回は連載初のジュエリー、「エルメス(HERMÈS)」のネックレス ヘラクレス編。

ギリシア神話に登場する英雄、ヘラクレスがモデル名の由来で、チェーンのデザインは力強さと繊細さ、さらにエルメスとヘラクレスの頭文字である「H」を表現しているそう。 Imaged by FASHIONSNAP

ギリシア神話の英雄から着想、マルジェラ期の名作

 最近はどんなヴィンテージでも「高騰!高騰!」と言われますが、人気の高まりがここ数年で特に顕著なのが、エルメスのジュエリーです。

 数年前まで、ヴィンテージのメンズジュエリーというと「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」や「ゴローズ(goro's)」、「カルティエ(Cartier)」や「ティファニー(Tiffany & Co.)」といったブランドが中心で、エルメスは今ほど注目されておらず、相場もあまり高くありませんでした。

 ところが、数年前にシェーヌダンクルの人気に火がついたことで、エルメスの国内直営店では同モデルを予約することができなくなり、入手困難となってしまいました。欲しい人は二次流通で探すしかなくなり、まさに争奪戦の様相を呈しています。

 シェーヌダンクルは存在感のあるモデルですが、今回ご紹介するヘラクレスのネックレスは、「Hモチーフ」が重なった繊細で上品なデザインが魅力。カリスマ的な人気を誇るデザイナー マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)がウィメンズのデザインを手掛けていた時代、通称「マルジェラ期」に発売されたアイテムです。

 女性はもちろん、男性にもマッチしますし、ヴィンテージウェアとの相性も良い。僕自身、シルバーかゴールドのどちらかをほぼ毎日愛用しています。「ヘラクレス」にはネックレスのほかにブレスレットも存在しますが、そちらもその使いやすさから非常に人気が高いです。

 エルメスと言えばレザーグッズが有名ですが、レザーはどうしても使用に伴い劣化し、資産価値に影響が出てしまいます。長年所持していても資産価値が落ちにくいという観点でも、エルメスのジュエリーはオススメです。

留め具が特徴的で、引っ掛けるだけで外れなくなる仕組みになっている。 Imaged by FASHIONSNAP

プロが教える「間違いないヴィンテージエルメスの買い方」

 エルメスのジュエリーはハンドメイドにこだわって作られています。メインであるフランスのほか、ドイツ、イギリス、イタリアの工場に発注しているのですが、どの工房で作られたかがわかるメーカーズマークという刻印が一つ一つの製品に打たれているんです。ルーペで見ないとわからないほど小さな刻印なんですが、それを見ると作られた工房を判定することができます。

 エルメスのジュエリーはその人気の高さから、フェイク(偽物)が非常に増えています。最近では販売店の保証書のフェイクも出回っていますし、インターネットやフリマアプリで購入した際、「商品画像として掲載されている写真は本物だったが、送られてきた現物が贋作だった」というケースも報告されているので注意が必要です。高価なものですから、信頼の置けるお店で知識と経験がある人から買うのがベターですね。

 現在エルメスのジュエリーは価値がかなり高騰していますが、相場が今より落ち着くことは基本的にないと考えて良いでしょう。理由としては、需要に対して供給が圧倒的に足りていないことのほか、男女問わず一生物のジュエリーとしてエルメスを手にする人が右肩上がりで増えており、市場に出回る数がどんどん少なくなっていることが挙げられます。エルメスジュエリーは廃盤になると高くなる。今回紹介したヘラクレスは廃盤になってはいますが、まだ一般層への知名度がそこまで高くなく、現在の相場は女性サイズとされる42センチメートルが70万〜90万円、男性もつけられる50センチメートルが140万〜170万円ほど(十倍調べ/個体差あり)。個人的に今後更に人気が加熱するエルメスジュエリーの筆頭だと考えているので、今のうちに押さえておくことをオススメします。今後、こちらの連載では、エルメスのほかのモデルについても紹介する予定です。

ゴールド50cmの着用イメージ Image by FASHIONSNAP