【令和のマストバイヴィンテージ Vol.28】 今買っておくべき名品は? by  Naoaki Tobe
Category: COLUMN
VCM inc./
代表取締役 十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCMを立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

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【令和のマストバイヴィンテージ Vol.28】
今買っておくべき名品は?

by Naoaki Tobe
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by Naoaki Tobe

vol.28 アニマル柄シャツ編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第28回はアニマル柄シャツ編編。

音楽カルチャーと密接な関係を持つ「アニマル柄」

 今回紹介するこちらのアイテム、かなり個性的でインパクトのあるアイテムですよね。1950年代から60年代にかけてつくられた、カルチャーとの繋がりが深い立派なヴィンテージなんです。

 アニマル柄は、実は音楽カルチャーと深い繋がりがあるということをご存知でしょうか?その代表が、1950年代半ばにアメリカ南部で生まれた音楽「ロカビリー」です。激しいビートと、叫ぶような歌唱から生まれる刺激的なサウンドは、当時世界中の若者達を虜にしました。特に人気を集めたのが、「キング・オブ・ロックンロール」の異名を持つ歌手、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)や、「ロカビリーの女王」と呼ばれるワンダ・ジャクソン(Wanda Jackson)です。エルヴィス・プレスリーの恋人としても知られたワンダが衣装として好んで着用していたのが、アニマル柄のアイテムでした。

 1960年代に入ると、エルヴィス・プレスリーの徴兵や、人気ミュージシャンの死去などが影響しロカビリー人気は衰退しますが、1979年にニューヨークで結成されたバンド「ストレイ・キャッツ(Stray Cats)」らの登場により、1980年代にネオロカビリーブームが到来します。特に、ストレイ・キャッツのフロントマンであるブライアン・セッツァー(Brian Setzer)はファッションアイコンとしても人気を博し、彼らが着用したアニマル柄のウェアは、ロカビリーを象徴するアイテムとなりました。映画「アメリカン・グラフィティ」や「グリース」などの、1950年代のアメリカのカルチャーを描いた映画が話題になったこともあり、ロカビリーを含むフィフティーズファッションの人気は日本にも波及。1980年代初頭には、ロカビリーファッションに身を包んだ若者たちが、原宿の歩行者天国 通称「ホコ天」に集い、ロックに合わせてツイストダンスを踊るというムーブメントを生み出しました。

 また、後のファッションにも大きな影響を与えた音楽ムーブメントと言えば「パンク」ですが、「セックス・ピストルズ(SEX PISTOLS)」のベーシスト シド・ヴィシャス(Sid Vicious)も、アニマル柄のアイテムをよく着用していました。ライダースジャケットの下にアニマル柄を合わせた彼のスタイルはとても格好良いので、是非チェックしてみてください。

数千円から30万円オーバーまで、アニマル柄シャツの相場

 そんなカルチャー色が濃いアニマル柄ですが、今回紹介するアイテムには、もうひとつ面白い背景があります。このヒョウ柄のプルオーバーは「コディアック(KODIAK)」というブランドのものですが、タグには「キャンパス(CAMPUS)」とも記載されています。キャンパスは、1922年創業のアメリカの衣料品メーカーです。現在でも、キャンパスが展開していたジャケットやシャツ、ニットなどは古着として数多く出回っていますが、コディアックはキャンパスが展開していた、フェイクファー専門のブランドなんです。鮮やかな色や配色デザインなど、派手な印象のアイテムが多く、そのなかでもアニマル柄は人気のデザイン。現在流通しているのは小さなサイズのものが多いのですが、大きなサイズのものには30万円オーバーの価格が付くこともあります。

 こちらは、「デルマー・スポーツウェア(DEL MAR Sportswear)」というアメリカンブランドのアイテム。1950年代に人気を博したオープンカラー、ボックスシルエットのデザインは、今のファッションに落とし込みやすいことも嬉しいポイントです。

 今回ご紹介したアイテムは全て、新潟のヴィンテージショップ「ディスマン(THIS MAN)」の大野さんからお借りしました。どれも希少性の高いヴィンテージですが、実は年代にこだわらなければ、アニマル柄のアイテムはお手頃価格のものがたくさんあるんです。特に、1990年代のアイテムは数千円から手に入るうえに、ゆったりとしたシルエットが今のファッションと親和性が高いので、アニマル柄入門編としてオススメ。パッと見は派手ですが、実際に着てみるとすんなり馴染むことが多いのが、アニマル柄の特徴です。コーディネートのアクセントとして、是非取り入れてみて欲しいですね。

vol.28 アニマル柄シャツ編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第28回はアニマル柄シャツ編編。

音楽カルチャーと密接な関係を持つ「アニマル柄」

 今回紹介するこちらのアイテム、かなり個性的でインパクトのあるアイテムですよね。1950年代から60年代にかけてつくられた、カルチャーとの繋がりが深い立派なヴィンテージなんです。

 アニマル柄は、実は音楽カルチャーと深い繋がりがあるということをご存知でしょうか?その代表が、1950年代半ばにアメリカ南部で生まれた音楽「ロカビリー」です。激しいビートと、叫ぶような歌唱から生まれる刺激的なサウンドは、当時世界中の若者達を虜にしました。特に人気を集めたのが、「キング・オブ・ロックンロール」の異名を持つ歌手、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)や、「ロカビリーの女王」と呼ばれるワンダ・ジャクソン(Wanda Jackson)です。エルヴィス・プレスリーの恋人としても知られたワンダが衣装として好んで着用していたのが、アニマル柄のアイテムでした。

 1960年代に入ると、エルヴィス・プレスリーの徴兵や、人気ミュージシャンの死去などが影響しロカビリー人気は衰退しますが、1979年にニューヨークで結成されたバンド「ストレイ・キャッツ(Stray Cats)」らの登場により、1980年代にネオロカビリーブームが到来します。特に、ストレイ・キャッツのフロントマンであるブライアン・セッツァー(Brian Setzer)はファッションアイコンとしても人気を博し、彼らが着用したアニマル柄のウェアは、ロカビリーを象徴するアイテムとなりました。映画「アメリカン・グラフィティ」や「グリース」などの、1950年代のアメリカのカルチャーを描いた映画が話題になったこともあり、ロカビリーを含むフィフティーズファッションの人気は日本にも波及。1980年代初頭には、ロカビリーファッションに身を包んだ若者たちが、原宿の歩行者天国 通称「ホコ天」に集い、ロックに合わせてツイストダンスを踊るというムーブメントを生み出しました。

 また、後のファッションにも大きな影響を与えた音楽ムーブメントと言えば「パンク」ですが、「セックス・ピストルズ(SEX PISTOLS)」のベーシスト シド・ヴィシャス(Sid Vicious)も、アニマル柄のアイテムをよく着用していました。ライダースジャケットの下にアニマル柄を合わせた彼のスタイルはとても格好良いので、是非チェックしてみてください。

数千円から30万円オーバーまで、アニマル柄シャツの相場

 そんなカルチャー色が濃いアニマル柄ですが、今回紹介するアイテムには、もうひとつ面白い背景があります。このヒョウ柄のプルオーバーは「コディアック(KODIAK)」というブランドのものですが、タグには「キャンパス(CAMPUS)」とも記載されています。キャンパスは、1922年創業のアメリカの衣料品メーカーです。現在でも、キャンパスが展開していたジャケットやシャツ、ニットなどは古着として数多く出回っていますが、コディアックはキャンパスが展開していた、フェイクファー専門のブランドなんです。鮮やかな色や配色デザインなど、派手な印象のアイテムが多く、そのなかでもアニマル柄は人気のデザイン。現在流通しているのは小さなサイズのものが多いのですが、大きなサイズのものには30万円オーバーの価格が付くこともあります。

 こちらは、「デルマー・スポーツウェア(DEL MAR Sportswear)」というアメリカンブランドのアイテム。1950年代に人気を博したオープンカラー、ボックスシルエットのデザインは、今のファッションに落とし込みやすいことも嬉しいポイントです。

 今回ご紹介したアイテムは全て、新潟のヴィンテージショップ「ディスマン(THIS MAN)」の大野さんからお借りしました。どれも希少性の高いヴィンテージですが、実は年代にこだわらなければ、アニマル柄のアイテムはお手頃価格のものがたくさんあるんです。特に、1990年代のアイテムは数千円から手に入るうえに、ゆったりとしたシルエットが今のファッションと親和性が高いので、アニマル柄入門編としてオススメ。パッと見は派手ですが、実際に着てみるとすんなり馴染むことが多いのが、アニマル柄の特徴です。コーディネートのアクセントとして、是非取り入れてみて欲しいですね。