【令和のマストバイヴィンテージ Vol.23】 今買っておくべき名品は? by  Naoaki Tobe
Category: COLUMN
定番のロゴプリント
カップがプリントされたデザインは珍しい
「London」のバックプリントは珍しい
VCM inc./
代表取締役 十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCMを立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

https://www.instagram.com/naoaki_tobe/
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【令和のマストバイヴィンテージ Vol.23】
今買っておくべき名品は?

by Naoaki Tobe
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by Naoaki Tobe

vol.23 ハーゲンダッツ編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第23回はハーゲンダッツ(Häagen-Dazs)編。

バリエーションの豊富さが魅力 意外?ハーゲンダッツの古着

 古着の楽しみ方は人それぞれ。希少性の高いヴィンテージがどうしても話題になりがちですが、それだけが正解ではありません。まだそこまで注目されていないようなアイテムに、自分なりの価値を見出すことも醍醐味のひとつです。今回そんな楽しみ方の例として紹介するのが、ハーゲンダッツのアイテム。皆さんご存知、あのアイスクリームブランドです。ハーゲンダッツは、1961年にアメリカ・ニューヨークで創業。1984年には、東京・青山に日本第一号店をオープンしたりと、実は都会派のブランドなんです。今回ご紹介するアイテムは、画像前列中央のフォトTシャツを除き全て、ヴィンテージショップ「フルギーク(Frgeek)」オーナーでハーゲンダッツのコレクターでもある池谷宗哉さんに提供していただきました。

 ハーゲンダッツがウェアを展開していたことはあまり知られていないんじゃないでしょうか。一番有名なのが、ロゴをあしらったアイテム。このスウェットはブラックボディにホワイトのロゴが映えて、とてもスタイリッシュです。

 ハーゲンダッツのヴィンテージの魅力は、バリエーションの豊富さ。今でもスーパーマーケットなどで新商品の試食イベントが開催されているのを目にすることがありますが、ハーゲンダッツの古着の多くはそのようなときに着用されていたと思われます。例えばこの「Treat your family to a cool gift for the holidays(家族に素敵なホリデーギフトを贈ろう)」というメッセージが入ったスウェットは、ギフトの販促キャンペーンのときに着用されたアイテム。2枚目の「Team Häagen-Dazs」というプリントのTシャツは、ハーゲンダッツのアイスクリームを購入した人を対象に配付した販促品かもしれません。

 こちらのスウェットはちょっと変化球。前面には「I've had the ultimate experience(究極の体験をしました)」という意味深な文言。背面にはハーゲンダッツのロゴをプリントしています。「なるほど、そういうことね」と思わせる、ユニークなアイテムです。

 次のアイテムは少し毛色が違います。フロントにはハーゲンダッツを持って戯れる男女の写真がプリントされていますが、これを撮影したのは、ツイッギー(Twiggy)の写真なども手掛けたバリー・ラテガン(Barry Lategan)という著名なフォトグラファー。フォトTシャツという付加価値もあり、相場は7万円前後と他のハーゲンダッツのアイテムと比べてやや高額です。

 最後に紹介するのはピンズ。実は、こういうグッズ類も意外と出てきたりします。このまま部屋に飾ってもよし、ジャケットの胸元やバッグに付けてもよし。意外と汎用性が高そうです。

“企業モノ”ヴィンテージで自分の「好き」を表現して

 ハーゲンダッツのように、企業が商品の販促やイベントのためにつくったアイテムは近年「企業モノ」というジャンルで括られるようになりました。一番人気なのはアップル(Apple)のアイテムで、その火付け役はラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)だと言われています。そのほか、マイクロソフト(Microsoft)やIBMなどのテック系企業をはじめ、バドワイザー(Budweiser)、マルボロ(Marbolo)など、既に付加価値が付いている企業モノも多く存在します。今回紹介したハーゲンダッツは、人気ブランドがサンプリングしたことや、アメリカのハードコアパンクシーンを牽引したバンド、ブラック・フラッグ(Black Flag)のヘンリー・ロリンズ(Henry Rollins)やマイナー・スレット(MINOR THREAT)のイアン・マッケイ(Ian MacKaye)が、下積み時代にハーゲンダッツでアルバイトをしていたいうカルチャー的な背景もあり、相場はやや高めで、スウェットだと3〜5万円ほど。ヴィンテージに慣れていない人にとっては高く感じるかもしれませんが、既にかなり値上がりしてしまったバンドや映画、アニメなどの「カルチャー系ヴィンテージ」に比べると、企業モノの相場はまだ確立されておらず、手頃な価格で手に入れられるアイテムもたくさんあります。

 企業モノのヴィンテージは、自分の「好き」を気軽に表現できるアイテムだと思います。自分のお気に入りの食べ物や飲み物、乗っている車、よく行く外食チェーンなど、自分の好きな企業の古着を探してみるのも楽しいですよ。

vol.23 ハーゲンダッツ編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。第23回はハーゲンダッツ(Häagen-Dazs)編。

定番のロゴプリント

バリエーションの豊富さが魅力 意外?ハーゲンダッツの古着

 古着の楽しみ方は人それぞれ。希少性の高いヴィンテージがどうしても話題になりがちですが、それだけが正解ではありません。まだそこまで注目されていないようなアイテムに、自分なりの価値を見出すことも醍醐味のひとつです。今回そんな楽しみ方の例として紹介するのが、ハーゲンダッツのアイテム。皆さんご存知、あのアイスクリームブランドです。ハーゲンダッツは、1961年にアメリカ・ニューヨークで創業。1984年には、東京・青山に日本第一号店をオープンしたりと、実は都会派のブランドなんです。今回ご紹介するアイテムは、画像前列中央のフォトTシャツを除き全て、ヴィンテージショップ「フルギーク(Frgeek)」オーナーでハーゲンダッツのコレクターでもある池谷宗哉さんに提供していただきました。

 ハーゲンダッツがウェアを展開していたことはあまり知られていないんじゃないでしょうか。一番有名なのが、ロゴをあしらったアイテム。このスウェットはブラックボディにホワイトのロゴが映えて、とてもスタイリッシュです。

 ハーゲンダッツのヴィンテージの魅力は、バリエーションの豊富さ。今でもスーパーマーケットなどで新商品の試食イベントが開催されているのを目にすることがありますが、ハーゲンダッツの古着の多くはそのようなときに着用されていたと思われます。例えばこの「Treat your family to a cool gift for the holidays(家族に素敵なホリデーギフトを贈ろう)」というメッセージが入ったスウェットは、ギフトの販促キャンペーンのときに着用されたアイテム。2枚目の「Team Häagen-Dazs」というプリントのTシャツは、ハーゲンダッツのアイスクリームを購入した人を対象に配付した販促品かもしれません。

 こちらのスウェットはちょっと変化球。前面には「I've had the ultimate experience(究極の体験をしました)」という意味深な文言。背面にはハーゲンダッツのロゴをプリントしています。「なるほど、そういうことね」と思わせる、ユニークなアイテムです。

 次のアイテムは少し毛色が違います。フロントにはハーゲンダッツを持って戯れる男女の写真がプリントされていますが、これを撮影したのは、ツイッギー(Twiggy)の写真なども手掛けたバリー・ラテガン(Barry Lategan)という著名なフォトグラファー。フォトTシャツという付加価値もあり、相場は7万円前後と他のハーゲンダッツのアイテムと比べてやや高額です。

 最後に紹介するのはピンズ。実は、こういうグッズ類も意外と出てきたりします。このまま部屋に飾ってもよし、ジャケットの胸元やバッグに付けてもよし。意外と汎用性が高そうです。

“企業モノ”ヴィンテージで自分の「好き」を表現して

 ハーゲンダッツのように、企業が商品の販促やイベントのためにつくったアイテムは近年「企業モノ」というジャンルで括られるようになりました。一番人気なのはアップル(Apple)のアイテムで、その火付け役はラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)だと言われています。そのほか、マイクロソフト(Microsoft)やIBMなどのテック系企業をはじめ、バドワイザー(Budweiser)、マルボロ(Marbolo)など、既に付加価値が付いている企業モノも多く存在します。今回紹介したハーゲンダッツは、人気ブランドがサンプリングしたことや、アメリカのハードコアパンクシーンを牽引したバンド、ブラック・フラッグ(Black Flag)のヘンリー・ロリンズ(Henry Rollins)やマイナー・スレット(MINOR THREAT)のイアン・マッケイ(Ian MacKaye)が、下積み時代にハーゲンダッツでアルバイトをしていたいうカルチャー的な背景もあり、相場はやや高めで、スウェットだと3〜5万円ほど。ヴィンテージに慣れていない人にとっては高く感じるかもしれませんが、既にかなり値上がりしてしまったバンドや映画、アニメなどの「カルチャー系ヴィンテージ」に比べると、企業モノの相場はまだ確立されておらず、手頃な価格で手に入れられるアイテムもたくさんあります。

 企業モノのヴィンテージは、自分の「好き」を気軽に表現できるアイテムだと思います。自分のお気に入りの食べ物や飲み物、乗っている車、よく行く外食チェーンなど、自分の好きな企業の古着を探してみるのも楽しいですよ。

カップがプリントされたデザインは珍しい