【令和のマストバイヴィンテージ Vol.11】 今買っておくべき名品は? by  Naoaki Tobe
Category: COLUMN
VCM inc./
代表取締役 十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCMを立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

https://www.instagram.com/naoaki_tobe/
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【令和のマストバイヴィンテージ Vol.11】
今買っておくべき名品は?

by Naoaki Tobe
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by Naoaki Tobe

vol.11 カルバン・クライン「オブセッション」Tシャツ編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。 第11回は「カルバン・クライン(Calvin Klein)」の「オブセッション」Tシャツ編。

フォトTシャツに隠されたセレブの恋模様

 今回紹介するのは、いわゆる「フォトTシャツ」にカテゴライズされるアイテム。アメリカのデザイナーズブランド、カルバン・クラインのTシャツです。

 1968年創業のカルバン・クラインは、シンプルで洗練された都会的なデザインが持ち味。特にブランドロゴが特徴的なアンダーウェアは1980年代に大ヒットしました。近年はK-POPアーティストが着用するなどして、再び脚光を浴びていますね。

 香水も、カルバン・クラインを象徴するアイテム。「シーケーワン(CK ONE)」や「エタニティ(ETERNITY)」など、ヒット作には枚挙に暇がありません。

 今回紹介するTシャツでは、カルバン・クラインの香水「オブセッション(OBSESSION)」にフォーカス。モデルを務めているのは、スーパーモデルのケイト・モス(Kate Moss)。後に「シュプリーム(Supreme)」のキャンペーンフォトに登場するなど、ストリートカルチャーとも繋がりが深い、ファッション界の超重要人物です。

 一点お伝えしたいのは、このTシャツは、「人気ブランドが人気モデルを起用した香水のプロモーションTシャツ」というような単純なアイテムではないということです。アートワークの撮影を手掛けたのは、現在も活躍する有名フォトグラファー マリオ・ソレンティ(Mario Sorrenti)なんですが、なんと当時、ケイト・モスとマリオ・ソレンティは恋人同士だったという逸話があるんです。そのことを踏まえて改めて写真を見ると、ケイト・モスの眼差しに、まるで恋人を見つめるような温かみを感じるのは僕の考えすぎでしょうか?

 香水「オブセッション」は1993年に発売されました。このTシャツのボディはアメリカ製の「ヘインズ(Hanes)」ですが、ヴィンテージTシャツの年代測定の基準になるステッチを見ると、裾も袖も「シングル」なので、発売当初のものだと思われます。

ヴィンテージの入門編に、実は狙い目?フォトTシャツ

 最近は様々なTシャツがヴィンテージとして価値を高めています。フォトTシャツもそのひとつで、上述のカルバン・クラインのアンダーウェアや、ポロ・ラルフローレン(Polo Ralph lauren)などの広告などを手掛けた大御所フォトグラファー、ブルース・ウェーバー(Bruce Weber)のフォトTシャツは、100万円以上の値が付くこともあります。

 一方で、現時点でヴィンテージフォトTシャツと言えば、ブルース・ウェーバーが広く認知されていますが、このマリオ・ソレンティのようにフォトグラファーとしてはビッグネームであるにも関わらず、ヴィンテージ市場ではまだそこまで高値になっていない、という例も少なくありません。

 この「オブセッション」Tシャツは、カルバン・クラインのブランド価値にケイト・モスというスーパーモデル要素も加わっているため相場は20万円ほど(状態による)ですが、デザインを変えて探せば手頃な価格のアイテムも見つかります。まだ話題になっていないフォトグラファーのTシャツを見つけるのも楽しいですよ。

 インパクトの強いデザインが多いバンドTシャツなどと比べてコーディネートがしやすく、性別や年齢を問わず多くの人に似合うのもフォトTシャツの魅力。ヴィンテージの入門アイテムとしてもオススメです。

編集:山田耕史 語り:十倍直昭

vol.11 カルバン・クライン「オブセッション」Tシャツ編

 とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式でご紹介。 第11回は「カルバン・クライン(Calvin Klein)」の「オブセッション」Tシャツ編。

フォトTシャツに隠されたセレブの恋模様

 今回紹介するのは、いわゆる「フォトTシャツ」にカテゴライズされるアイテム。アメリカのデザイナーズブランド、カルバン・クラインのTシャツです。

 1968年創業のカルバン・クラインは、シンプルで洗練された都会的なデザインが持ち味。特にブランドロゴが特徴的なアンダーウェアは1980年代に大ヒットしました。近年はK-POPアーティストが着用するなどして、再び脚光を浴びていますね。

 香水も、カルバン・クラインを象徴するアイテム。「シーケーワン(CK ONE)」や「エタニティ(ETERNITY)」など、ヒット作には枚挙に暇がありません。

 今回紹介するTシャツでは、カルバン・クラインの香水「オブセッション(OBSESSION)」にフォーカス。モデルを務めているのは、スーパーモデルのケイト・モス(Kate Moss)。後に「シュプリーム(Supreme)」のキャンペーンフォトに登場するなど、ストリートカルチャーとも繋がりが深い、ファッション界の超重要人物です。

 一点お伝えしたいのは、このTシャツは、「人気ブランドが人気モデルを起用した香水のプロモーションTシャツ」というような単純なアイテムではないということです。アートワークの撮影を手掛けたのは、現在も活躍する有名フォトグラファー マリオ・ソレンティ(Mario Sorrenti)なんですが、なんと当時、ケイト・モスとマリオ・ソレンティは恋人同士だったという逸話があるんです。そのことを踏まえて改めて写真を見ると、ケイト・モスの眼差しに、まるで恋人を見つめるような温かみを感じるのは僕の考えすぎでしょうか?

 香水「オブセッション」は1993年に発売されました。このTシャツのボディはアメリカ製の「ヘインズ(Hanes)」ですが、ヴィンテージTシャツの年代測定の基準になるステッチを見ると、裾も袖も「シングル」なので、発売当初のものだと思われます。

ヴィンテージの入門編に、実は狙い目?フォトTシャツ

 最近は様々なTシャツがヴィンテージとして価値を高めています。フォトTシャツもそのひとつで、上述のカルバン・クラインのアンダーウェアや、ポロ・ラルフローレン(Polo Ralph lauren)などの広告などを手掛けた大御所フォトグラファー、ブルース・ウェーバー(Bruce Weber)のフォトTシャツは、100万円以上の値が付くこともあります。

 一方で、現時点でヴィンテージフォトTシャツと言えば、ブルース・ウェーバーが広く認知されていますが、このマリオ・ソレンティのようにフォトグラファーとしてはビッグネームであるにも関わらず、ヴィンテージ市場ではまだそこまで高値になっていない、という例も少なくありません。

 この「オブセッション」Tシャツは、カルバン・クラインのブランド価値にケイト・モスというスーパーモデル要素も加わっているため相場は20万円ほど(状態による)ですが、デザインを変えて探せば手頃な価格のアイテムも見つかります。まだ話題になっていないフォトグラファーのTシャツを見つけるのも楽しいですよ。

 インパクトの強いデザインが多いバンドTシャツなどと比べてコーディネートがしやすく、性別や年齢を問わず多くの人に似合うのもフォトTシャツの魅力。ヴィンテージの入門アイテムとしてもオススメです。

編集:山田耕史 語り:十倍直昭